146話 論理+感性=創造性
【論理的思考と感性】
日本語には、体の様子で心の状態を示す言葉がたくさんあります。
世間に対して面目が立たず、引け目を感じる様子を「肩身が狭い」といい、威勢がよくて得意な態度をみせることを「肩で風を切る」といいます。また、怒った時は「腹が立ち」、覚悟を決めるときは「腹を据え」ます。
「からだ言葉」の一つに、心の状態を体の部位で表現しているものがあります。 実際に億劫な時は、腰が重く感じたり、心配事が絶えないと胸が苦しくなったりします。身近な人を亡くすと胸にぽっかりと穴が開いたように感じたりします。
また、「からだ言葉」は物や生き物を表現するものがあります。うどんに「腰がある」と使われ、痛みやすい魚などは「足がはやい」といいます。
これらの言葉は、生活や物事に影響を与える状態や、体を感じる感覚や感性を当てはめて、誕生したのかもしれません。
理性を働かせて論理的思考で仕事を行うことも大事ですが、「からだ言葉」のように、感覚や感性で物事を捉えることも大切にしたいものです。
さて結果は?
習慣👉これからも頑張り続ける
論理的思考の限界などという言葉が世間を賑わせた時期がありました。論理と感性は一見、相反する対義的な表現に見えますが、実は融合してこそそれぞれの力を発揮します。
例えばこんな方々
バッハには、譜面の左右対称、上下対称、点対称、平行移動などを自由に音楽的・有機的に組み合わせ、まるで建築のような美しい構造が音楽の美を生み出している楽曲が多数存在します。
また、だまし絵などで有名なオランダの画家、エッシャーの「繰り返し模様」を使った不思議な絵たちの背後にも、バッハと似た「対称性」の秘密が眠っているそうです。
日本で言うと、葛飾北斎。北斎の代表作『冨嶽三十六景《神奈川沖浪裏》』の背後には複雑な作図があり、人々が大きくうねる波の動きを目で追うと、その先に遠くの富士山の頂上が自然と見える、という絶妙な仕掛けがほどこされています。
「初音ミク」を生んだボーカロイドや、シンセサイザーなどのデジタル楽器も、実は数学が支えていたりします。
このように、さまざまな芸術の背後にはこっそり数学・科学からのインスピレーションやアイデアが存在しており、また逆もそうです。
変化が激しく、既存の常識がどんどん古びていく世の中では固定化された知識・スキルだけでは生き抜けない時代になっています。
今を生き抜くには、新しい価値を生み出す「創造力」が大切で、何かを創造する際には、感性と論理の融合がキーワードになると感じています。
一方で教育も「知識・スキルを教える一方向型の受動的・固定的な学び(インストラクション型)」から、「さまざまな状況の中で、自ら思考し感じ実践し振り返ることを繰り返しながら自ら構築していく能動的・創造的な学び(コンストラクション型)」へと変わってきています。
「創造」が未来の仕事の核になるのだとすれば、これからの時代は心躍るものになりそうですね!
