197話 パワーナップやってみたことはありますか?
【パワーナップ】
本日は「睡眠の日」です。睡眠健康推進機構が春(3月18日)と秋(9月3日)の年2回、睡眠健康への意識を高めることを目的に制定しました。
OECD(経済協力開発機構)の2021年の調査によると、日本人の睡眠時間は、対象30カ国中で最下位という結果になっています。
睡眠時間を十分に確保するのが難しい時もあるでしょう。スタンフォード大学教授で睡眠の研究者である西野精治(にしのせいじ)氏は、睡眠の質を最大限に高めるには、眠り始めの90分間を深く眠ることが重要であると述べています。
最初の深い眠りの中で、成長ホルモンが最も多く分泌され、このホルモンは子供の成長のみならず、大人も筋肉や骨が強くなり、代謝が正常化され、免疫力向上にもつながっていると西野氏は述べています。
就寝前にスマートフォン等を操作すると脳を刺激してしまい、深い眠りを阻害する要因となります。寝る前は脳がリラックスする環境を整え、睡眠の質を高める工夫を行い、深い眠りによって明日の活力を養っていきたいものです。
さて今日の実践は?
人はどうして眠るのか?
こんな話を聞いたことはありますか?
道路交通法において、酒気帯び運転の基準値となる呼気中アルコール濃度は0.15mg/L。血中アルコール濃度に換算すると、0.3mg/mL(0.03%)に当たります。
そして、科学誌Natureの論文(1997年に発表)によると、起床後、17時間がたった場合、アルコール血中濃度が0.05%の状態と同じになる。との論文があります。
つまり、早起きして夜遅くまで働いた場合、作業効率は著しく落ちるだけでなく、重大な事故を引き起こしかねません。睡眠が私たち体に及ぼす影響は大きいと言えます。
ところで皆さま、「パワーナップ」という言葉はご存知ですか?
「パワーナップ」とは、短時間の昼寝の事を指します。実は、この昼寝は脳や身体の疲労をとるためには非常に効果的な習慣となりうるのです。
「パワーナップ」を少し詳しく解説いたしますと、12時から15時くらいにとる15分~30分ほどの睡眠のことで、コーネル大学の社会心理学者ジェームス・マースの研究により広まりました。
パワーナップで効率的に疲れをとることにより、以下のような効果が期待できます。
集中力の向上
ストレス軽減
記憶力向上
作業効率アップ
心臓疾患や認知症の予防
最近ではGoogleやNIKEなどの外資系企業だけでなく、日系企業でも業務の効率化や集中力向上のためにパワーナップを取り入れているようです。
ではどうしてパワーナップで疲労回復できるのでしょうか?
それは、睡眠のメカニズムが関係しています。 みなさんは“レム睡眠”と“ノンレム睡眠”という言葉を聞いたことがあると思います。パワーナップでは睡眠の深い“ノンレム睡眠”のみで目を覚まします。
カリフォルニア大学・バークレー校の神経科学者マシュー・ウォーカー教授の研究によると、入眠20分ほどで訪れるノンレム睡眠のステージ2において、脳内に蓄積した“キャッシュ・メモリ”がクリアされるそうです。
パソコンやスマホで、動きが重くなったブラウザのキャッシュをクリアすれば動作が軽くなるのと同じように、パワーナップの間に脳のキャッシュ(疲労など)がクリアになり、身体に良い効果をもたらすのです。
脳は、常にさまざまな情報を処理しているのでとても疲れていますし、特に、現代人はパソコンやスマホからの膨大な量の情報を処理しています。この現代社会を生きる中で、脳の疲労をとることはとても重要です。
それを簡単に実践できるのがパワーナップなのだ思います。
時代が流れるにつれ、とりまく環境が変わってきている中、自分達のルーティンも定期的に見直していきたいものです。
今日も一日お疲れ様でした!